西日本や東京などで大きく遅れた今年のソメイヨシノの開花。ようやく満開を迎えた地域も多い。統計データ分析家の本川裕さんは「サクラの開花の遅れは地球温暖化の影響が弱まったことが理由ではない。今年も猛暑が予想されている。日本国内の猛暑日の平均日数を調べると、暑さを逃れるには実は“北に行くより海へ向かう”ことがいいとわかった」という――。
ようやく満開…桜の後にやってくる猛暑を避ける最適&意外な場所
ソメイヨシノの今年の開花は西日本で大きく遅れ、昨年はおろか、平年(30年間分の気象データについて算出した平均値)よりも遅くなった場所が多かった。その大きな理由は、ちょっと意外に思われるかもしれないが、「昨年末から今年にかけて暖冬だったから」であり、地球温暖化の影響が和らいだわけではない。
これからも暑い日が続くことに変わりがない。こうした状況を踏まえ、今回は気象データ特集として、サクラの開花状況を概観するとともに、今後予想される夏の暑さを避けるためにはどうしたらよいかを猛暑日の地域分布データから探ってみよう。
まず、今年のソメイヨシノの全国各地の開花状況を昨年や平年と比較してどのように推移しているかについて示したグラフを図表1に掲げた。
ソメイヨシノの最も早い開花は今年の場合、高知の3月23日だった。開花予想より全般的に遅れがちであり、高知も平年より1日遅かった。
東京の開花も3月29日と遅く、東京が全国一番乗りだった昨年の3月14日より15日遅く、また平年の3月24日よりも5日遅かった。
西日本を中心に多くの地域で開花が昨年はおろか平年よりも遅くなっている。開花が遅くなった理由としては、ひとつは、2月後半から3月にかけて寒い日が多かったことが考えられる。このため蕾の成長が足踏み状態となった。そしてもうひとつは、今年の冬は記録的な暖冬で休眠打破がうまく行われなかったためである。つまり今年は、冬に暖かく、逆に春に寒かったことでサクラの開花が遅くなったと見られる。
開花がまだかまだかとやきもきしていた人が多かった。ある新聞のコラムではそうした状況をあらわすため以下の和歌を引いたほどだった。
〈世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし〉在原業平