猛暑日の地域分布:日本では内陸部で多く沿岸部で少ない
それでは、日本国内の地域分布でも同様の状況にあるかどうかを次に確かめてみよう。
図表4には、各都道府県の県庁所在市の年間猛暑日日数の分布マップを作成した。データは平年値、すなわち1991~2020年の平均である。
南北の緯度差がけっこう大きい日本列島では、当然、北の北海道・東北のほうが九州よりも猛暑日日数が少ないという傾向が認められる。
ところが、一番、南に位置する沖縄では猛暑日日数が0.2日と北海道に次いで少なくなっている。これは沖縄がきわめて海洋性の高い地域であるからと考えるより他はない。陸地より海洋のほうが一日の気温差が小さい。このため、世界分布と同様、海に近い地域ほど一日の気温変動が小さくなり、猛暑にも襲われにくくなっているのである。
関東・甲信越地方では、埼玉や山梨が猛暑日15日以上であるのに対して、日本海側の新潟だけでなく、太平洋側の茨城、千葉、東京、神奈川、静岡という海沿いの地域では猛暑日5日未満となっている。内陸部と沿岸部との対比がきわめて明確なのである。
全国で最も猛暑日が多いのは京都の19.4日である。京都盆地における夏のうだるような暑さは以前より有名であり、それがデータでも裏づけられている格好だ。
九州でも、ど真ん中の熊本だけが猛暑日15日以上である。西日本の中でも徳島、高知、長崎、そして沖縄という海洋性の高い地域で猛暑日5日未満となっている。
暑さを避けるため、北国への移住が検討されることが多いが、こうしたデータをみると、むしろ近場の海沿いの地域に移住する方が手っ取り早いことが明らかであろう。
ただし、海沿い地域は一日の寒暖差が小さい分、夜になってもあまり涼しくならないというマイナス面もあることは申し添えておこう。