桜の「全国一斉開花が促される」と予想される理由

西日本では開花が遅れたのであるが、仙台で平年より6日早く4月2日に開花するなど、ここへきて東日本では開花が進み、平年並みかそれより早くなった。いわば、全国一斉化の傾向、図に即して言えば右下がりの折れ線が横に寝てフラット化する傾向が認められるのである。

東京と仙台の開花日の推移を1953年から長期的に追ったグラフを図表2に掲げた。

早くなる桜の開花日(仙台と東京)
筆者作成

毎年の変動の中で、早くなったり、遅くなったりする傾向がないかを目で確認すると、東京にせよ、仙台にせよ、1980年代までは、開花日にあまり傾向変化があるように見えないが、それ以降は、開花日が早くなる傾向が認められる。

こういう場合の傾向線を求めるひとつの方法は移動平均である。図には各年における過去10カ年の移動平均値の推移を点線で示したが、1990年代以降には開花の早期化傾向がはっきり認められる。

今年(2024年)の開花の遅れは一時的な現象と断定できよう。

地球温暖化で、一方では、サクラの開花の早期化がもたらされるが、他方では、日本の広範囲でサクラがほぼ一斉に開花するようになると気象学者によって予測されている。

サクラの開花には冬の寒さと春の暖かさが必要であり、両者のバランスで開花時期が決まる。サクラの花芽は前年の夏にでき、秋ごろに成長を止めて「休眠」する。冬の厳しい寒さにさらされると「休眠打破」が起こり、成長を再開する。その後は暖かいほど、開花が早まる(東京新聞2024.4.3)。

このため、暖冬で休眠打破が不十分だと春は暖かくとも開花が遅れ、満開にならないこともある。温暖化が進むと、九州は休眠打破に十分な寒さとならず開花が遅れ、逆に東北は休眠打破が十分である上、春の暖かさの影響で早く開花するので、両者が相俟って全国一斉開花が促されると予想されるのである。今年の全国一斉化に向けた動きはそのさきがけだと考えられる。