ひとり暮らし、20代後半は2.2倍、85歳以上は3.8倍

次に、1985年から2020年にかけての35年間の推移を見てみよう。全体として、各年代、各年齢層でひとり暮らし比率が右肩上がりに大きく上昇した。

85年から20年にかけての35年間の中で、年齢計の「総数」で6.5%→14.9%、もっとも高い水準の20代後半では13.7%→29.6%へと2.2倍に上昇。85歳以上では5.9%→22.2%へと3.8倍とさらに大きく上昇している。

唯一の例外は10代後半であり、しばらく上昇したが2005年の6.6%→5.1%へとむしろ低下している。これは高学歴化にともなう就職年齢の上昇により、親元を離れるのが遅くなってきているためである。

20代前半はバブル期(90年)ぐらいまでは横ばいであり、まだ働き始めてもまだ親と同居していたが、その後、上昇しているのは、高卒就職でも、大学進学でも親から独立するようになったためと思われる。

20代後半の急速な上昇は、20代前半と同じひとり暮らし志向に加えて、晩婚化で、結婚し2人世帯に移るのが遅れていったからであろう。

結婚すると親元を離れ独立するのでひとり暮らしは減るが、晩婚化の影響があって、30代前半までのひとり暮らし比率の上昇の加速、他方では、30代後半と40代のひとり暮らし比率上昇の鈍化にむすびついている。

中年層のひとり暮らし比率上昇は、高齢期のように死別によるものではなく、未婚、単身赴任、離婚の増大の影響によると思われる。

高齢層のひとり暮らし上昇とそのテンポには、本人の健康度の上昇や以前は多かった3世代が同居する世帯の減少のほか、配偶者との死別、子どもの独立、子どもからの独立、在宅福祉・介護制度の充実などの要因が複合的に働いていると考えられる。

例えば、寿命が延びたことで高齢2人世帯が増加し、70代後半~80代前半のひとり暮らし比率の伸びを鈍化させるとともに、女性の死亡年齢の上昇は死別後の女性を増やし、85歳以上のひとり暮らし比率の上昇の大きさの大きな要因となっていよう。

地域によって大きく異なるひとり暮らし比率

では、どの地域でひとり暮らしが多いか、またどの地域でひとり暮らしが少ないか(家族同居が多いか)を見てみよう。同じように国勢調査の結果を使う。

都道府県別のひとり暮らし比率(15歳以上)を図表2に掲げた。比率が最も高いのは東京の26.7%であり、4人に1人を超えている。

【図表】格段に高い東京から全国最低の山形まで幅が大きいひとり暮らし比率

東京に次いでひとり暮らし比率が高い地域は、北海道の20.6%、大阪の20.1%、京都の19.0%と続いている。東京が2位以下の地域を大きく引き離している点が印象的である。下に見るように若年層も高齢層もひとり暮らし比率が他の都道府県を断然引き離して高くなっている東京の地域性のためである。

逆に、ひとり暮らし比率が最も低いのは山形の11.1%であり、10人に1人の水準である。山形に次いでは、福井の11.8%、岐阜の11.9%がいずれも11%台で続いている。東京との差は極めて大きい。