長く活躍し続けるにはどうすればいいか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「若い頃から勉強もでき将来を嘱望された一群の人たちは、嫉妬と反感の渦に巻き込まれ、いらざる争いで苦労してしまい、成功できないことも多い。偏った性格でHSPの私が今本を書いたり、講演をしたり、若い人と研究をしたりできているのも、『消し去る、熟成させる、別のドアを開く』など時間の助けによるところが大きい」という――。

※本稿は、高田明和『孤独にならない老い方』(成美堂出版)の一部を再編集したものです。

折り紙で作られたトップ従業員のイメージ
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答えが出ない時は時間にまかせる

時間こそ最も賢明な相談相手だ。

政治家 ペリクレス

年を取ると、時間の意味を再認識します。

たとえば、大学にいた時、学内がもめ、収拾がつかなくなったことがあります。誰が考えても解決方法がないのです。私も「これは四次元の連立積分方程式のようなもので、解がない」などと冗談めいたことを思ったものです。

しかし、今も大学は存続しています。つまり、なんらかの方向で解決したのです。それが時間の力なのです。

このようなことは、あらゆる分野の、すべての出来事でいえるでしょう。

どんな問題があっても、たとえば来年の4月1日は必ず来るのです。その時には、問題も、ある状態になっています。その意味で、解決しているのです。

来年の4月1日に、問題がまだ続いている可能性もあります。それは「続いている」というように解決したのです。

多くのことは非常に複雑にからみ合っています。何が正しく、何が間違いかという単一の結論はありません。「時が来たらこうなった」というのが、唯一の答えになるのです。