※本稿は、高田明和『孤独にならない老い方』(成美堂出版)の一部を再編集したものです。
答えが出ない時は時間にまかせる
政治家 ペリクレス
年を取ると、時間の意味を再認識します。
たとえば、大学にいた時、学内がもめ、収拾がつかなくなったことがあります。誰が考えても解決方法がないのです。私も「これは四次元の連立積分方程式のようなもので、解がない」などと冗談めいたことを思ったものです。
しかし、今も大学は存続しています。つまり、なんらかの方向で解決したのです。それが時間の力なのです。
このようなことは、あらゆる分野の、すべての出来事でいえるでしょう。
どんな問題があっても、たとえば来年の4月1日は必ず来るのです。その時には、問題も、ある状態になっています。その意味で、解決しているのです。
来年の4月1日に、問題がまだ続いている可能性もあります。それは「続いている」というように解決したのです。
多くのことは非常に複雑にからみ合っています。何が正しく、何が間違いかという単一の結論はありません。「時が来たらこうなった」というのが、唯一の答えになるのです。