夫婦とは何なのか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「妻は夫を守ろうという強い気持ちから、ふっと感ずることが、しばしば的を射る。こうして長く一緒に暮らせば暮らすほど、妻はなくてはならない存在になっていく。画家のゴッホが言ったように『夫婦とは二つの半分になるのではなく、一つの全体になることだ』というのは真理だ」という――。
※本稿は、高田明和『孤独にならない老い方』(成美堂出版)の一部を再編集したものです。
夫婦の運命的な結びつきは案外普遍的
二つの孤独が互いに守り合い、触れ合い、迎え合う。
そこに愛がある。
詩人 リルケ
そこに愛がある。
詩人 リルケ
夫婦ほど運命的な結びつきはないのではないでしょうか。親と子、師弟、医者と患者などの出会いも運命的ですが、夫婦は、どの関係とも違う気がするのです。
私は大学に入った18歳で妻と知り合い、大学・大学院時代、米国生活、帰国後の浜松医大での教職生活を通して、いつも一緒でした。
昔、ドイツ語を学んでいた時、ドイツの神父さんから「あなた方はいつも一緒だけど、離れている時はあるのですか」と聞かれ、「トイレの中だけ」と冗談を言ったほどです。
のちに妻の足が悪くなってトイレに付き添うようになってからは、本当に一日中一緒ということになりました。
家族にも、「お父さんには親友はいない。お母さんが親友で、恋人で、同級生で、共同研究者だ」と話したことがあります。
世の中には、ご夫婦とも存命の方、伴侶を失われた方、離婚された方、結婚をしなかった方、あるいは子供を持たない方など、いろいろな方がいます。
ですから、「夫婦が運命的な結びつきというのは個人的な感情にすぎない」と受け取る方もいるかもしれません。
しかし私は、夫婦が運命的な結びつきだという考え方は、案外、普遍的だと思っています。