義実家に戻る
七瀬信子さん(仮名・当時27歳)が義実家を出てから8年後。子どもたちが大きくなり、アパートが手狭になったため、新しく家を建てようかと夫婦で考え始めていた。その頃、七瀬さんとずっと関係が悪かった義祖父が亡くなったため、義祖母と義両親が、七瀬さんが結婚当初に同居していた義実家に「戻ってきてほしい」と言い出した。七瀬さん35歳、長男14歳、長女13歳、次男11歳になっていた。
「私は絶対に戻りたくなかったのですが、5つ上の夫には、『長男だからいつかは戻らないと』『長男だから親の介護もしないといけない。近くにいたほうがいい』。義祖父のあとを継いだ義父には『土地はやるから』と言われ、渋々でした。義祖父が亡くなってから、義祖母が義母から嫌味を言われていたので、かわいそうだと思ったのもあります。結局は諦めですかね……」
ただ、元の義実家に戻ることは子どもたちも渋った。自分たちの部屋が欲しかったが、そのスペースはなかったからだ。そこで、義実家を建て替えることを条件に戻ることにした。
「夫からは、『土地代はタダなんだから、その分、立派な二世帯を作れば良いじゃないか』と言われましたが、役所で聞いたところ、義実家のあるエリアは市街化調整区域で手続きが大変だと言われ、二世帯にすることができませんでした。頑張ればできたのに、あの当時忙しくてなかなか調べることができませんでした。後悔しています」
それでも、キッチンは1つだが風呂とトイレは2つ作った。義両親には、「義弟、義妹の部屋も作れ!」と言われたが、七瀬さんは、「結婚して出て行ってるのだからいりません」ときっぱりと断った。
1階は、LDKと2間続きの和室。1部屋は義祖母の部屋。もう1部屋は義両親の部屋。
2階は、七瀬さん家族専用のリビングと夫婦の寝室、そして子ども部屋を3部屋作った。