広島・安芸高田市の石丸伸二市長が、市議会の問題点を指摘する動画をYouTubeに投稿しつづけている。石丸市長はなぜそのような行動に出ているのか。前東京都知事の舛添要一さんは「地方政治は二元代表制のため、議会の反対にあえば、改革はなにも進まない。それでも改革を進めるには、メディアを使って直接、世論に訴えるしかない」という――。
普天間問題は国による代執行へ
日本の地方自治はきちんと機能しているのだろうか。
防衛省は2020年4月21日に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設計画を巡る、新たな区域の埋め立て工事に必要な設計変更を、沖縄県に申請した。
しかし、玉城デニー知事が承認しなかったために、法廷闘争になった。2023年9月4日に最高裁は県の敗訴という判決を下し、県の承認の義務が確定した。
しかし、玉城知事が期限の10月4日までに承認しなかったために、5日に斉藤国交相が代執行のための訴訟を福岡高裁那覇支部に提訴した。
代執行は、2000年の地方分権改革で開催された地方自治法に導入された手続きである。
それまでの機関委任事務が廃止され、地方の仕事は自治事務(自らが行う公的サービス)と法廷受託事務(国が業務を委託)とに分けられた。
今回は後者で、知事が義務を果たさないときには、国が代執行できるようになっている。
玉城デニー知事は板ばさみになっている
知事が国に反対する政治的立場だと今回のような事態になるが、知事は民主的な選挙で選ばれている。
民意と国の方針が齟齬をきたした場合に、どうするのか、地方自治法の仕組みを超えて、政治的解決が必要だ。
玉城知事は、日本の法律に従うという義務と、県民の民意に従うという義務の板ばさみになっている。
東アジアの安全保障環境が厳しくなっているときに、国と沖縄県の対立は好ましいことではない。
世界一危険と言われる普天間飛行場の移転は喫緊の課題で、いつまでも待てるものではない。
基地について「最低でも県外」という鳩山由紀夫元首相のような非現実的な発言は問題の解決には資さない。