理論上、9割のがんに効くとされる「光免疫療法」が注目を集めている。「夢の治療法」はどこが新しいのか。開発者で、アメリカ国立がん研究所(NCI)主任研究員の小林久隆さんに取材した芹澤健介さんの著書『がんの消滅 天才医師が挑む光免疫療法』(医学監修:小林久隆、新潮新書)より紹介する――。(第1回)
「光免疫医学研究所」でレーザー光を照射してみせる小林久隆所長
写真=時事通信フォト
「光免疫医学研究所」でレーザー光を照射してみせる小林久隆所長=2022年4月20日、大阪府枚方市の関西医大

革命的と言われる治療法の開発者は日本人

9割のがんに効く治療法がある。

そう聞いたらどう思われるだろうか。

光免疫療法。

そんな夢みたいな、と思われるかもしれないが、日本ではすでに実用化されている。2020年9月、厚生労働省から正式に承認を受け、楽天メディカルが普及に尽力中だ。

2011年に論文が発表されるやそのインパクトは医学界を超えて広がり、論文段階にもかかわらず、わずか2カ月後に時のアメリカ合衆国大統領バラク・オバマは年頭の一般教書演説で取り上げた。論文発表から10年も経たない異例の早さで日本は世界に先駆けて承認した。

この「革命的」とも「ノーベル賞級」とも言われる治療法の開発者は、小林久隆という日本人医師だ。渡米二十余年、全米最大・最古の医学研究機関、米国国立衛生研究所(NIH)で終身の主任研究員を務める。

天才と呼ばれる。

新聞も雑誌も「情熱大陸」も「ガイアの夜明け」も小林を取り上げた。一見、どこにでもいる普通の日本人の「おじさん」だ。酒をたしなみ、ともすれば関西弁のダジャレが口を衝き、アイドル好きでカラオケも歌う。関西人らしく、「人前に出たら一回は笑いをとりたい」とも口にする。

だが小林が開発した光免疫療法の原理は素人でも理解できるくらいシンプルで、安全で、鮮やかだ。楽天グループCEO三木谷浩史はこう言った。

「おもしろくねえほど簡単だな」