「がん免疫療法」はまだ発展途上

「免疫チェックポイント阻害薬」を使うものと「エフェクターT細胞療法」(キメラ抗原受容体=CARの遺伝子を用いるCAR-T療法)である(ネットで検索すると大量に出てくるこれ以外の「○○免疫療法」は保険外診療、つまり自由診療なのでご注意を)。前者はがん薬物療法の一種とも言える。

「免疫チェックポイント阻害薬」はがん細胞を攻撃する免疫細胞のいわばブレーキを外し、CAR-T療法はその数を増やす。いずれにせよ「免疫の力を強める」治療法だ。まだ治療の対象となるがんは限られており、免疫チェックポイント阻害薬を使えるがん種でも効果が出るのは2割ほどというのが現状だ。

どちらも免疫細胞ががん以外の場所でも活性化しすぎることで重症化したり死亡したりするといった重篤な副作用の例も報告されている。患者自身の免疫細胞の性質に左右される面もあり、まだまだ発展の途上にあると言っていいだろう。

光免疫療法は「がん細胞だけ」を狙える

では光免疫療法のメリットとはなんだろうか。

まずオバマの言葉を借りれば、光免疫療法は「がん細胞だけを殺す」ことだ。

従来の三大療法はどうしても正常細胞を傷つけてしまう。

どんな天才外科医でもがん細胞だけを摘出するのは不可能だ。どれだけピンポイントに放射線を当てようと、がん細胞の周囲の正常細胞も傷ついてしまう。抗がん剤治療は、ざっくり言えば「毒」をもってがんを制する治療法だ。がんだけでなく正常細胞にも「毒」の影響が出てしまう。

がん免疫療法はがん細胞を直接殺すわけではない。がん細胞を殺す免疫細胞を活性化するものだ。

光免疫療法は、近赤外線照射のスイッチを押せば、がん細胞だけが狙われ、選択的に壊される。