※本稿は、星友啓『脳を活かすスマホ術 スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
0~5歳児は「毎日2時間以上」の使用は禁物
スマホの使用について、最も注意したいのは、幼児の場合です。
アップルでiPhoneやiPadを生み出したスティーブ・ジョブズが、自分の子どもにはiPadを渡さなかったという話はよく知られています。このように、世界中の親たちが子どものスマホやタブレットの使い過ぎをかなり気にしているのは周知の事柄です。
例えば、アメリカのある調査では、以下のような親たちからの反応が返ってきたということです。
・スマホ取り上げを罰にすることあり 80%
・スマホで利用しているウェブやアプリのチェック 75%
・ペアレンタルコントロール(保護者による利用方法の管理) 72%
・テキストのチェック 49%
実際に、小さい子どものスマホ使用に関しては、さまざまな研究で悪影響が確認されています。そのため、幼児期はスマホやタブレットの使用を制限するのが推奨されているのです。
さまざまなガイドラインを総合すると、0歳から5歳くらいの幼児は、毎日2時間以上の使用は禁物です。テレビ画面も含め、スマホやタブレットなどのスクリーンを見る時間(スクリーンタイム)がそれより長い場合は、特に気をつけた方がいいでしょう。
認知能力を下げるスクリーンタイム
このように小さな子どものスクリーンタイムがさまざまな悪影響を及ぼすことは、だいぶ前より知られてきました。
例えば以前、子どもの早期教育に良いということで、有名なキャラクターとコラボした子どものビデオ知育教材が売り出されていたことがありました。
ところが、その教材を実際にやることによって、子どもの認知能力が上がるどころか、大幅に下がってしまったのです。
例えば、幼い子どもは手を使っておもちゃで遊ぶなど、実際に物に触れることによって、空間の認識能力を養っていきます。それをベースにして、下の図のような二次元の線を立体として認識できるようになります。
ところが、そうした空間認識能力がまだ十分ではない時に、平面のテレビばかりを長時間見ていると、身につけるべき空間認識能力を養うことができません。
図のような形はそもそも二次元の図なので、平面としか把握できず、それを見ているだけでは、いくら経っても立体として認識することができない。つまり、平面のテレビ画面でさまざまな「立体」のやり取りがあっても、なんのこっちゃわからず、学習に役立たないのです。