ネットで何でも調べられる時代に歴史の年号暗記は必要か

教養は、一朝一夕に身に付くものではありません。α世代の子どもたちには知識を得るのと同時に、物事を深く広く考える姿勢を身に付けてもらいたいと思うのです。

池上彰『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』(主婦の友社)
池上彰『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』(主婦の友社)

たとえば歴史の勉強にしても、出来事が起きた年を暗記するのは単なる知識です。ネットで調べれば、すぐに得られる情報でもあります。

しかしその出来事が世の中をどう変えたのか、出来事の教訓を後世にどう生かすのかということは、年代を暗記しただけではわかりません。ひとつのテーマについて考えを深めていくことで、教養が少しずつ身に付くのです。

○○戦争が起きたのは××年という知識から踏み込んで、○○戦争が社会に与えた影響を調べてみる。「そもそも、なぜ○○戦争が起きたのか」と考えてみる。戦争というテーマを掘っていくと、「沖縄にたくさんアメリカ軍基地があるのはなぜだろう?」「テレビで言っている北方領土って何だ?」といろいろなことがつながり、知りたいことが増えてきます。それをまた調べてみる。

ネット情報だけでなく本も読む。詳しそうな人に話を聞いてみる。そういう一つひとつの体験が、教養につながっていきます。

知識があるだけでは実社会では評価されない

学生時代はテストの点がよければそれなりのポジションが確保できます。しかし、たとえAI並みの知識があっても、人間としての懐の深さや魅力がなければ実社会では評価されにくいでしょう。

口先だけの薄っぺらな人間にならないこと。物事を掘り下げて考えること。さまざまな体験をし、時には人間関係のトラブルにも遭い、そこで感じたことを自らの糧にしていく。そのための手助けをしてやるのが大人世代の務めです。適切なアドバイスができる大人もまた、教養のある人だということになります。

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