「外貨建て」も「変額」も手数料が非常に高い

まず、外貨建て終身保険について。その名の通り米ドルやオーストラリアドル建てで毎月の保険料を運用するものですが、日本の金利より高い場合が多く、予定利率は3%ほど。これに死亡保障などがついていることで安心を感じる方が多く、福井さんが加入した商品もまさにこのパターンのものでした。もうひとつの「変額終身保険」は、投資信託と保障がセットになった保険商品で、運用実績によって保険金や解約返戻金額が変わります。

木製ブロックに書かれた円とドルのマーク
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
※写真はイメージです

では、なぜFPが「外貨建て終身保険」と「変額終身保険」に警鐘を鳴らすのかと言えば、どちらも保険商品であるために、手数料や関係費用が非常に高いのです。手数料の算出は非常に複雑かつ、明確に開示されていないので、運用中に一体どれだけの諸費用がかかっているのか、契約者には見えにくい現状があります。パッとわかるのは保険料の支払い期間が短い保険の解約時に「解約控除金」としてバコッと取られる時なので、諸費用の実態がわからないまま、毎月、積み立てることになります。リスクへの備えとして保険に対して警戒心を持っていない方が多いかと思いますが、その思考こそが落とし穴になっているのです。

「つみたてNISA」×「掛け捨て保険」のほうがいい

まず、基本として貯蓄も投資もしたい場合、「保障」と「運用」を分けて考えることが大切です。特に、福井さんのように独身で20代という若い方の場合、死亡保障が本当に必要かどうかをまず考えたいところ。もし保障が必要だとしても、掛け捨てで十分な場合がほとんどです。また、保険商品の場合、受け取り時に税金がかかることもデメリットとして挙げられます。

「運用」でいえば、つみたてNISAやiDeCoは、税制優遇の恩恵を受けることができる分、圧倒的に効率がいいと考えられます。つみたてNISA、iDeCoのどちらも運用中の利益は非課税ですし、iDeCoの場合、掛金が全額、所得控除できます。特に福井さんのように所得の高い方にとって節税効果が高い商品を選ぶのは大切なポイントです。

このように考えると、「保障」と「運用」を別々にする「つみたてNISA(またはiDeCo)」×「掛け捨て保険」がもっとも効率よく保障と運用が行えるのではないかと思います。