「資産は分散」は基本中の基本

一方、つみたてNISAやiDeCoにもデメリットはあります。iDeCoは60歳まで引き出せないですし、つみたてNISAは大きくお金を育てられる可能性がある分、大暴落する可能性ももちろん、あります。外貨建て保険や変額終身保険の場合も元本割れのリスクはあるのですが、保障もついてくるという安心感が安定した商品と思ってしまうところなのかもしれません。ただ、デメリットがない万能な商品はないので、貯める目的などをよく考えて、一点集中は避けることが大切です。「資産は分散」も、基本ですね。

また、保険の代理店で相談する場合、一社専属の保険外交員より偏りはないのですが、時期によっては「特定商品の契約成立で手数料10%アップ」といった代理店向けのキャンペーンが行われていることがあり、その場合には、代理店側も自分たちの利益確保のために手数料が高い商品を猛プッシュしてくる可能性もあるので、気をつけたいところです。

仕事に追われている人は、お金に無頓着になりやすい

そして今回感じたのは、学歴もキャリアも年収も貯金も申し分ない方でも、お金に関して無頓着な方が少なくない、ということ。生活に余裕があり、仕事に追われている福井さんのような方は面倒くささのほうが上回ってしまうのか、効率の悪い商品に一点集中でお金をつぎ込んでしまう傾向があります。以前この連載で紹介した「セット商品」の事例に登場した方も同じ傾向がありましたね。逆に、年収400~500万円代の方の方がお金のリテラシーが高く、一生懸命勉強されていて、いかに上手にお金を育てるかを研究されていることがまま、見受けられます。

タブレット端末を使用している仕事中の女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

福井さんには早速、つみたてNISAとiDeCoの紹介をし、保険についても見直しをおすすめしました。彼女も知らなかっただけで、一度仕組みがわかれば、そこは頭のいい方なので早速見直しをし、節税も意識するようなりました。

人によっては、貯蓄型の保険を利用することが最適となる場合もあるかもしれません。とはいえ、「楽」な方に流されるのではなく、一度立ち止まって自分に必要な保障やお金を貯める目的、資産バランスなどを考えた上で、自分にとって最適な運用方法を探っていきたいですね。

(構成=小泉なつみ)
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