できるだけ赤身の肉は食べないほうがよい

また、肉がうつの原因になるかどうかは、まだわかってはいません。しかし、食事と心臓病、糖尿病、寿命などの関係を調べた世界中のデータを見れば、どうしても「できるだけ赤身の肉は食べないほうがよい」という結論を出さざるを得ないのです。

黒いシェールに神戸牛フィレの霜降り肉
写真=iStock.com/Grafissimo
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肉をあまり食べない習慣を維持する人々のほうが、心臓病や糖尿病の罹患率は明らかに少なくなります。肉食の割合が少ない国民のほうが平均寿命も長くなっています。魚食の割合が多い日本人は、長生きの典型です。

野菜や果物には、活性酸素から身を守る抗酸化物質のポリフェノールが含まれていることはよく知られています。

酸化とは、金属でいうところの「さび」であり、「老化は酸化」ともいわれるほど、体の細胞を衰えさせる要素です。細胞が老化すると、がんに罹りやすくなりますが、ポリフェノールは、これを防ぐということです。

ここまでは皆さんもご存じかもしれませんが、実はこのポリフェノールにおいても、腸内細菌が健全でないと、ちゃんと抗酸化の作用が行なわれないことが明らかになっています。

腸内細菌の影響力恐るべし、ですね。

これが「薬にもなる」体にいい食事

では、「よい食事」とは、どんなものでしょうか。

日本でも最近、肉食が多くなりましたが、それでも魚をよく食べる日本食は、日本人の平均余命が長いことにより、世界的に評価されています。また、味噌や納豆などの発酵食品は、いい腸内細菌を体に育てるのに非常に効果的な食品です。

日本食のほかには、イタリアやギリシャなど地中海沿岸の、オリーブ油やナッツ、魚、果物などを主とした食事、いわゆる「地中海食」が健康食として世界的に有名です。

地中海食もヨーグルトやチーズなどの発酵食品が多く、そしてまた野菜や果物に加え、ワインが主体になっていることが特徴です。

日本ではあまり知られていませんが、ヨーロッパ北部にあるスカンディナビア半島の人たちは、長く寒い冬を乗り切るために、あらゆる麦からの繊維、果実、ナッツ、魚、カモ肉など、当地の人々の腸内細菌に適した食物を摂取しています。カモの肉は脂肪分が少ないとされます。