いま水面下でパワハラに悩む社員が急増中だ。どの一線を越えるとパワハラに該当するのか? 法曹界の専門家らが、対策を含めてわかりやすく解説する。

パワハラ──。正式名称はいわずと知れたパワー・ハラスメントであるが、この職場でのいじめや嫌がらせに悩む人が増え続けている。グラフは、厚生労働省がまとめた個別労働紛争でいじめや嫌がらせによる相談を受けた件数の推移。2005年度に約1万7800件だったものが、09年度には同3万5700件へ倍増している。

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増え続けるパワハラの相談/民事上の個別労働の紛争に関する相談件数が増えているが、その大きな要因となっているのがいじめや嫌がらせによるものだ。

「10年前には上司が部下を小突いたり、灰皿を投げるなど、暴行罪や傷害罪などに該当するようなパワハラが、日常茶飯事のように行われている職場も少なくなかった。コンプライアンス(法令遵守)の意識の高まりもあってか、さすがにそのようなあからさまなパワハラは影を潜めるようになった。しかし、水面下では言葉などによるパワハラが依然として横行している」