かつて日本の成長力の源泉とされた中間層は消滅したのか? 中間層の二極化の実態をアンケート結果から詳らかにする。

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調査概要/平成22年4月23日から27日までインターネット上でアンケート調査を行った。30~50代を上流・中流・下流の区分に分け各層の人数がほぼ同数となるよう調整。調査実施機関は株式会社インテージ。

格差の“世襲”

上流と下流は、どこで差がついたのか。教育機会の差が年収格差につながることはよく知られているが、今回の調査でも、年収と学歴には強い相関が見られた(図17)。では教育機会の差はどこで生まれるのだろうか。

上流ほど実家はお金持ちという結果(図18)や、前回(>>記事はこちら)紹介した上流下流の子供の教育費(図4)を見ると、裕福な家庭の子供ほど教育機会が多く、高学歴・高収入につながっていることがわかる。逆に親が下流だと教育機会が少なく、子供も低収入になりやすい。いわゆる格差の再生産だ。

「教育機会の問題は、単に学歴が就職時に有利というレベルの話ではなく、じつはもっと根が深い」

と森剛志氏は指摘する。

「教育機会が少ないと、未知の知識に触れる機会も減り、自分の身の回りだけで世界が完結してしまいます。興味の幅が狭くなると、内向的なキャラクターが形成され、それが原因で仕事でも問題を抱えてしまう。下流は対人関係が苦手で、バーチャルな世界で自我を肥大化させる傾向があるといわれますが、それも教育機会と無関係ではないのです」(森氏)