幸福感は意外と各国で共通
「ご自分のことを現在、どの程度幸せだと思いますか」
この問いかけに、あなたはどう答えるだろうか。内閣府が毎年行っている「国民生活選好度調査」では、「幸せである」「どちらかといえば幸せである」「どちらかといえば不幸である」「不幸である」の4段階で回答してもらい、経年変化を調べている。
こうした調査結果が「幸福度」と呼ばれる指標だ。そして、所得水準や消費動向、家族形態や失業といった様々な要素と幸福度との関連性を追究するのが、「幸福の経済学」である。
経済学では本来、「幸福」という抽象的な用語は、議論の対象としていなかった。なぜなら、人によって価値観は異なり、同じような体験をしたとしても、人によって幸福感は違うはずだ。だから幸福の比較はできないという立場だった。
ところが1990年前後から、幸福度に関する調査結果の統計的分析が急速に進むようになった。従来の経済学では、例えばアメリカ人にとっての所得が増えたときの幸福度の増え方と、イギリス人の増え方は比較できないくらい違うはずだと考えられていたわけだが、国際比較してみると意外に共通している。そこから幸福の経済学は、新しい時代に対応した経済学として産声を上げたのである。