「早く答えを出すこと」だけが正解ではない

これは迅速さが求められるような場合にも適用されます。つい先日、顧客企業のCEOから突然電話連絡があり、「前に話した商品開発の件だけど、新しい問題が出てきて幹部で議論している。ぜひ今すぐ意見を聴かせてほしい」と言われたことがありました。このような場合、その場で答えを出さなければなりません。

相良奈美香『行動経済学が最強の学問である』(SBクリエイティブ)
相良奈美香『行動経済学が最強の学問である』(SBクリエイティブ)

仕事を始めて間もない頃は「お客さまは忙しいのだから、とにかく早く答えを出す」ということに集中しすぎ、とにかく「イエス」か「ノー」の答えから切り出していました。

しかし経験を積んだ今では、「以前お話を伺ってから、いろいろと考えていました。その結果……」と、結論に至るまでの思考の過程を説明し、「熟考に熟考を重ねて、行動経済学の理論に沿い意見を述べています」と、しっかりと伝えています。

また、最初にひと言加えることで、突然の電話であっても自分の頭の中を整理する時間ができて、一石二鳥です。

時間をかけると「ちゃんと考えてくれている」と思われる

これは顧客に対してだけでなく、社内の相手でも同じです。例えば、メールで部下から「接待に先方の課長まで招待するべきか悩んでいる」と相談があったとします。相手にとっては悩ましいことかもしれませんが、より経験のある自分にはすぐに解決策が浮かぶ。

こういった際、1分でも早いほうがよいだろうと思って「イエス」か「ノー」ですぐに短く返信してしまいがちです。しかし、この対応だと、相手は「真剣に取り合ってくれてないのでは」と思ってしまう可能性があります。

こういった際も、あえて時間をかけて、どうしてそういうアドバイスになったかの説明を加えて返信してみましょう。そうすることで、「ちゃんと考えてくれている」と、部下の満足度がアップするはずです。またその説明は、部下にも良い勉強となり、次の悩みにも生かせるでしょう。

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