大阪維新の会が現在注力しているのは、埋め立て地の夢洲と舞洲で計画している万博とIR(統合型リゾート)だ。
維新の会は、万博とIRを大阪経済の起爆剤にする考え
維新の会は、万博とIRを大阪経済の起爆剤にする考えだ。しかし、これらは答えがある時代の発想だ。
2025年に大阪万博が開催されるが、実は大阪での万博開催は3回目。1970年の万博はたしかにインパクトが大きかった。ただ、それはディズニーリゾートなどがなかった時代のこと。90年にも鶴見緑地などで花博が開催されたが、まったく盛り上がらなかった。今3回目をやっても、人々は万博ではなくユニバーサル・スタジオ・ジャパンに足を運ぶだろう。
万博の跡地で開業を予定しているIRも期待できない。シンガポールのマリーナベイ・サンズの成功を受けて、世界中でIRが次々に開業した。しかし、その多くは閑古鳥が鳴いている。ゲンティンハイランド(マレーシア)、マカオ、フィリピン、韓国、どこも人がいない。
カジノが儲からなくなったのは、中国のハイローラー(超大金を賭ける顧客)が来なくなったからだ。習近平と王岐山が汚職撲滅運動で、ハイローラーたちを粛正した。大阪のIRも、中国の方針が変わらない限りうまくいかないだろう。ましてや日本人からは6000円の入場料を取ると言うから、これでは閑古鳥が鳴くこと間違いなしだ。
万博とカジノは、今や世界的に衰退産業。冷静に現状を分析すれば、それらで経済が良くならないことは明白だ。しかし、答えのある問題しか解いてこなかった政治家は、過去の成功事例こそ唯一の正解だと思い込んでしまう。
以上、20世紀の考え方を続ける限り、日本の凋落は止まらないが、岸田内閣の支持率が回復して維新が躍進する限りは軌道修正が難しく、問題は根深い。
(構成=村上 敬 写真=時事通信)