韓国映画が苦境に陥っている。いったい何が起きているのか。フリージャーナリストの金敬哲氏は「映画『THE FIRST SLAM DUNK』が観客動員数450万人を突破したのに対し、今年に入って国内作品で100万人を超えたのはわずか2作。このままでは予算不足で新作が作られなくなる可能性もある」という――。
韓国の映画館で、アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の上映を案内する電光掲示板=2023年2月18日、韓国・ソウル
写真=時事通信フォト
韓国の映画館で、アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の上映を案内する電光掲示板=2023年2月18日、韓国・ソウル

今年観客動員数が100万人を超えた国内作品はわずか2本

映画大国の韓国で日本アニメの快進撃が大きな話題となる中、韓国内ではその裏で進む自国の映画業界の低迷が取り沙汰されている。「危機」「泥沼」「失踪」「全滅」……韓国メディアによる映画界の現状分析記事でよく使われるこうした単語からは、その危機意識が伝わってくる。

今年1月に公開された『THE FIRST SLAM DUNK』、3月に公開された『すずめの戸締まり』が5月21日現在、それぞれ観客動員数466万人、544万人を記録しながらロングランを続けている。対して、今年公開された国内作品のうち観客動員数100万人を超えたのは『交渉』と『ドリーム』の2本だけだ(5月現在)。それさえも、制作費を考慮すれば決して十分な結果を残したとはいえない。