過去のヒット作を真似たような映画しか生まれないマンネリ
柳の下のどじょうを狙うあまり、似たような作品が量産されるマンネリ状態の蔓延も観客からそっぽを向かれるようになった理由のひとつだ。
「製作費が高くなり続けており、その分『絶対に失敗してはいけない』という意識も強くなってしまった。結果として、既存の成功パターンを踏襲したような映画ばかりが製作されているのが実情。製作費を下げるためにも新しいジャンルの開発を通じて新しい監督や新人俳優を送り出さなければならないが、業界全体に企画開発力が絶対的に足りていない」(前出 イ・ハヨン代表)
ドラマ業界もまったく他人事ではない
さらに深刻な問題は、この現象が映画界だけに限ったことではないという点だ。あるドラマ制作会社の代表は「ドラマ界でも似たような低迷シグナルが出ている」と話してくれた。
「今の韓国ドラマの平均製作費は1話あたり10億ウォンをはるかに超えており、トップ俳優をキャスティングするとなれば1話で30億ウォンを超えることも珍しくない。しかし、放送局やOTTからの出資はむしろ減っている。過去には製作費の10%程度を支援してくれたのが、今は7%にも及ばない。巨額の赤字になることが見え透いた状況で製作を続けるのは、まるで時限爆弾を抱え込んで仕事をしている気分だ。結果としてここ数年、業界全体で制作本数は顕著に減っている」
韓国メディアによると、韓国ドラマも50本あまりが公開先のプラットフォームを見つけられずに倉庫で眠っているという。製作費の暴騰による経営上の負担を減らすべく、OTTや放送局などがドラマの放送本数を減らしているからだ。
この数年、アジアを越えて世界のメインストリームで高く評価されてきた「K-コンテンツ」だが、本国ではすでに陰りが見えてきたようだ。過去の「成功体験」だけに頼って「新鮮さ」を失ってしまったことが、これほど急速な転落を招いた……そんな自嘲めいた評価が韓国国内には広がり始めている。