この名前覚えておいて損はナシ
2位 北香那 したたかと頑固の両刀使いの妙 80点
「バイプレイヤーズ」(2017・テレ東)で演じた片言日本語のジャスミン役以来、多彩な表情を見せ続けている。
大河でも間を置かずに登場。「いだてん」(2019)では負けん気が強い女子生徒・梶原役、「鎌倉殿の13人」(2022)では金子大地演じる源頼家の正妻・つつじ役、そして「どうする家康」では、家康の側室に抜擢されるも(猪を一撃で仕留め、捌く頼もしさ!)、同性愛者であることを告白する侍女・お葉役。寂しげな表情でも、凛とした立ち居振る舞いでも、爪痕を残した。
「東京の雪男」(2023・NHK Eテレ)では雪男と恋に落ち、SDGsの壁を経験するヒロイン、「インフォーマ」(2023・カンテレ)では愛する男を2度も失うキャバ嬢役。女子高生でも若妻でもシングルマザーでも違和感なく、喜劇でも悲劇でもきっちり役をまっとうする女優だと認識。既に引っ張りだこだが、いずれ主役級へ。
まだ本当の実力を見せていない
1位 小芝風花 言葉の武器をもたせたほうが本領発揮 100点
今期ダントツで面白いのが「波よ聞いてくれ」(テレ朝)だ。原作の漫画が秀逸で、ファンタジーではないのに、奇想天外というか予測不能。罵詈雑言の語彙力と鋭いツッコミ力が豊富なヒロインを小芝が演じている。
以前、「徹子の部屋」に出演したときに、関西独特の責任逃れの語尾「知らんけど」が好きだと話していて、大阪府出身のキレやコクをもっと生かせる役をやってほしいと常々思っていた。
可愛らしいルックスで「ドジっ娘・ダメっ娘」の役も多かったが、今回の鼓田ミナレ役はキレッキレ。別れた彼への脅迫一歩手前の暴言も、切れ味鋭いマシンガントークも、階下住民への大迷惑行為(しかも反省は浅い)も、最高に厄介で面白い。
その布石はあった。「女子的生活」(2018・NHK)では、一見「オーガニック・丁寧な暮らし・ほっこり」だが、その実、超好戦的で賢くて意地悪な目線をもつ女子の役だった。
言葉という武器をもった女がしっくり。「事件は、その周りで起きている」(2022・NHK)でも、笠松将と漫才レベルの掛け合いを見事に魅せていたし(しかも絶対に礼を言わない)。
モヤモヤ・ウジウジするよりも、自己主張と本音と毒を吐きまくる姿のほうが見たいなぁ。将来的には皮肉や暴言を吐いた後で「知らんけど」としれっと片付ける大阪のおばちゃんに成長してくれたら嬉しい。