見上愛と書いて「なまめかしい」と読む
4位 見上愛 恋愛強者の色気と妖艶さに説得力あり 60点
「往生際の意味を知れ!」(2023・TBS系)のコケティッシュな魅力に打ちのめされた。家族の不幸を題材に人気漫画家となった母親に復讐を誓う長女の役だが、入口がすごい。
元彼で自分の信奉者(青木柚)を利用し、妊娠・出産を企むというエキセントリックな始まり。ドキュメンタリーを撮影し、母親が漫画で描く欺瞞を世に知らしめるという。
自分の魅力を熟知している女のしたたかさとエロス、見上愛の持ち味が炸裂。
恋愛強者としての魅力は、「liar」(2022・TBS系)でも発揮。男女の駆け引きを男側・女側の両面から見せる手法の作品で、肉食系エリート(佐藤大樹)との心理戦(ある種、肉弾戦とも)を展開。「きれいのくに」(2021・NHK)で見せた純粋な女子高生役も印象深いが、そのなまめかしさは「ミス・コケティッシュin令和」とさせていただこう。
WOWOWの茉優の熱演を見たか
3位 松岡茉優 度胸と愛嬌、適役の連発、波が来た 75点
そもそもうまい。小生意気な役はしっくりきていたものの、この1年で確固たる主語と矜持のある適役にたどりついた、そんな感じがする。バカリズム脚本のスペシャルドラマ「ノンレムの窓」(2022・日テレ)では、コーヒー店で面倒臭いカスタマイズをしてくる客に辟易しながらも、オーダーを完璧にこなす店員役。妙におかしかったし、茉優ならではの対応力と存在感だった。
「初恋の悪魔」(2022・日テレ)では二重人格のヒロインを演じ、仲野太賀と林遣都の間で揺れる切なさと残酷さ(とおかしさ)を提供。
で、何よりも彼女の代表作と呼びたいのが、「フェンス」(2023・WOWOW)だ。
個人的には「最高かよ」と思えるヒロインだったが、沖縄における米軍の治外法権や基地問題、人種差別や虐げられて泣き寝入りする女性たちの問題と、内容が濃密だっただけに、エンタメ性だけを重視する人からは距離を置かれたのかもしれず。ただ、傑作であり、茉優の集大成ともいえる熱演は触れておきたいところ。
茉優は潜入取材で裏事情を記事にする元キャバ嬢ライター役。編集長からふられた米兵によるレイプ事件の真相を追うべく、沖縄へ。被害を訴えたのはカフェ店主(宮本エリアナ)。
実は茉優は沖縄出身。理不尽な思いをした女性を救うべく、体当たりで喰らいつく。度胸と愛嬌、女のプライドとガッツを存分に見せてくれた、過去一の適役。これからも女の矜持を体現し続けてほしいな。