「大人物」と「ベストセラー」のガイド
自己啓発書をガイドしようという動向は、今述べてきたような包括的なガイドのみにとどまりません。一人の書き手に焦点を絞ったガイドや、さらにその中でも有名な著作を解説しようとする本も近年刊行が続いています。たとえば皆さんご存じのピーター・ドラッカーについては、その思想の全容を解説する本、各著作のダイジェストを掲載する本、そして岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(ダイヤモンド社、2009)のような、一つの著作をより平易に活用しようという本がそれぞれ数多刊行されています。
他にも、書き手についてのガイドにはフィリップ・コトラーのマーケティング論の解説本等、著作のガイドには「現代の古典」ともいわれるスティーブン・コヴィー『7つの習慣 成功には原則があった!』(キングベアー出版、1996)の解説本等、色々例を挙げていくことができます。連載元のプレジデント社でも、大前研一『企業参謀』の解説本が出ました。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
岩崎夏海著/ダイヤモンド社/2009年
『7つの習慣 成功には原則があった!』
スティーブン・R. コヴィー著/キングベアー出版/2011年
このように、「古典」の解説本から、あらゆる自己啓発書を対象にしたブックガイドまで、さまざまなタイプの「ガイド」が、近年散見されるようになってきているのです。では、このような動向から、何を読み解くことができるでしょうか。
次週は《TOPIC-3 「自己啓発書を正しくたくさん読む私」の登場》です。