建てられた場所は「土砂災害警戒区域」だった

盛り土から数十メートル離れた場所に太陽光発電所があり、発電所の売電権(ID)を持つZENホールディングス(東京都千代田区)の創業者、麦島善光氏(当時85)が盛り土の現所有者だったこともあり、関連が指摘された。

もっとも、国土交通省港湾局出身で、国土交通省大臣官房技術総括審議官も務めた静岡県の難波喬司・副知事が「太陽光発電所が土石流に直接影響を与えたとは考えていない」と会見で表明したこともあり、現時点(2021年8月)でZENホールディングスが建設した太陽光発電所が土石流災害にどの程度、影響を与えたのかは定かではないが、現場となった伊豆山地区の山一帯が「土砂災害警戒区域」(一部は特別警戒区域)に指定されており、そこに太陽光発電所が造られたことは付言しておきたい。

「電気工作物」の扱いで、建築基準法が準用されない

国立環境研究所が興味深いデータを示している。同研究所によると、日本の0.5MW(メガワット)以上の大規模太陽光発電施設の建設によって、約229平方キロメートルもの土地が改変されている実態がわかったというのだ。これはほぼ山手線内側の土地の3倍ほどの面積に当たる。また約35平方キロメートルの土地に造成された太陽光発電所は鳥獣保護区や国立公園などにあり、自然が損壊されている実態が浮き彫りになったのだ。

本来は規制されて然るべき、こうした自然公園などや急傾斜地など災害リスクの高い場所に太陽光発電所が乱立したのは、再生可能エネルギー特別措置(FIT)法が成立した当時、政権を担っていた民主党の菅直人政権の存在がある。

菅政権は太陽光発電所の設置基準などを一切示さずに規制をしなかったばかりか、太陽光発電所のパネルや架台を建築物に該当しないこととしたために、建築基準法の規定が準用されないのだ。このため法律上、太陽光発電所は「電気工作物」の扱いであり、面倒な建築確認申請も必要がない。

難波副知事の「直接的な関連性は低い」との発言のため、「メガソーラーは危険ではない」という流言飛語がネット上などで散見されるようになったが、認識不足もはなはだしい。熱海市伊豆山から山を挟んで反対側にある静岡県函南かんなみ町で起きた事例を挙げてみよう。