トップ5を独占し、中国の一人勝ち状態

太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPVマーケットリサーチの最新レポート「ソーラーフレア」によると、中国メーカーがトップ5を独占。2020年のパネルの出荷量の67%は中国製といわれ、安価な販売攻勢に日米の先進国企業はまったく太刀打ちできず、この分野では中国の一人勝ちといっていい状態にある。

こうした「安値攻勢」に音を上げた当時のトランプ政権は2018年1月、結晶シリコン太陽電池(CSPV)の輸入製品に4年間、関税を課すことを決定した。

その後のバイデン政権はこのようなトランプ前政権の締め付け政策を緩和させるどころか、一層厳しく中国に接している。2021年6月24日、「労働者に対する脅迫や移動の制限が確認された」として、中国のシリコン製造大手「合盛硅業」からパネルの部品となるシリコンの輸入を禁止する措置に出た。中国製太陽光パネルの約64%は新疆しんきょうウイグル自治区で生産されているといわれ、中国の太陽光パネルメーカーにこの措置は大きな打撃となっただろう。

習近平政権は終始、「アメリカの言いがかりだ」として反発する姿勢を崩していないが、中国製のシリコン価格はこの1年で5倍も高騰し、太陽光パネルもこれに加えて4割ほど上がっているのだという。

「1トンにつき700円」で働かされているという報道も

公明党の山口那津男委員長(当時)は「新疆ウイグル自治区などで起きている中国政府による人権侵害行為を非難する国会決議」に終始消極的で、「証拠がない」と述べて、とうとう国会として決議を出せない事態に陥ったのは記憶に新しい。

だが、CNNの報道によれば、中国ではウイグル人の肉体労働者が1トンにつき日本円で700円という破格の安さで、「非自発的な労働を示唆する抑圧的な戦略」によって、手作業でシリコンを砕いているというのだ。強制労働なのであれば、中国製太陽光パネルが安いのは当然といえる。

ソーラーパネルの製造・加工工場
写真=iStock.com/alvarez
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さて、こうした中国製太陽光パネルの禁輸措置ないしは制限措置をアメリカが続々と打っているなか、肝心の日本は前述したように国会が非難声明のひとつも出せない状況だ。おまけに菅義偉政権(当時)は「2050年に温室効果ガスを実質上ゼロにする」とのスローガンを掲げた。

父の純一郎元首相が、東京地検特捜部に詐欺や会社法違反(特別背任)などの容疑で社長が逮捕、起訴されている太陽光発電関連会社「テクノシステム」と親しいことが知られている、小泉進次郎環境相(当時)も、「住宅の太陽光発電を義務化する」だとか、国立公園では原則、太陽光発電所の新設ができないことについて「保護一辺倒で活用が進まない」と述べ、規制を緩和させると、日本経済新聞へのインタビューに答えている。