世界のIT大手が参入するAIチャットボット
ここのところ、対話型AIのニュースを目にしない日はない。
前回、この連載でマイクロソフトのAIチャットボット「Bingとニューヨークタイムズ記者との会話について書いたが、その後の1カ月で、新しいAIチャットボットが続々とリリースされ注目を集めている。ChatGPTを開発したOpenAIは、バージョンアップした言語モデル「GPT-4」を発表。グーグルや、中国の検索エンジン大手、百度も、AIチャットボットを相次いで発表している。
その中でも最も注目されたのは、3月14日に発表されたGPT-4だ。昨年11月に発表されたGPT-3.5から、格段に精度が上がったとされている。質問や答えで扱える単語は約2万5000語と、前のバージョンの約8倍に増え、事実に基づく回答の確率も40%高まったという。
例えば、アメリカの司法試験の模擬試験を受けさせたところ、GPT-3.5が受験者の下位10%の水準だったのに対し、GPT-4は上位10%程度の成績だった。いずれも、過去の問題を解かせたわけではなく、新しい模擬問題を解かせている。全米生物学オリンピックでは、99%から100%も人間の成績を上回ったそうだ。もはや、AIと人間の競争には意味がなくなっているのかもしれない。
画像を理解する力も飛躍的に上がり、手書きのデザインを写真に撮って「ウェブサイトにしたい」という指示を出せば、そのデザインのウェブサイトを作るために必要なコードを生成することができるという。ただ、この画像入力機能は、まだ限定的にしか公開されていない。
GPT-4は、月額20ドル(約2700円)のAIチャットボットサービス「ChatGPT Plus」で使うことができる。
Bardや中国のAIも
ChatGPTやマイクロソフトのBingに後れを取ったグーグルは、全社に「コード・レッド」(非常事態宣言)を出して急ピッチで開発を進め、3月21日に「Bard」を発表、現在はアメリカとイギリスの一部ユーザーに限定公開している。また、3月16日には、中国の百度が、中国版ChatGPTともいえる「文心一言(アーニーボット)」の試験サービスを始めると発表した。すでに650社余りと連携しており、商業サービスに向けて開発を加速するという。