「外国様からホメてもらえないと不安」では、あまりに卑屈
日本ほど丁寧な国は、おそらく他に存在しない。だから、日本人はもっと自信を持っていい。別の表現をするなら「外国人から折に触れてホメてもらわないと、自分たちがちゃんと認めてもらえるか、嫌われていないか、不安になってくる」みたいな卑屈さは持つべきではない、ということだ。外国人様から称賛されないと、自我が保てないとでもいうのか?
そもそも、それなりの常識を持った人間、発言権のある人間、公的な立場の人間であれば、外国に行ったらその国、そして人々、文化、食べ物などをホメたりするのが当たり前の作法である。基本的には本心からの発言であることが多いと思うが、少なからずリップサービスもあるだろうし、ちょっと感心した程度でも「たいへん感銘を受けた」と話を盛ることもあるだろう。別に斜に構えて「本当にそう思ってる?」「お世辞でしょ」などと猜疑心を持つ必要はないが、過剰に反応をうかがったりする姿勢も不要である。「そりゃどうも」「ありがとうね」くらいでちょうどいい。
それなのに近年の日本人、そして日本のメディアは外国様から少しでもホメられると、やたらと反応してしまう。その最たるものが前述したようなタイトルであり、サッカーW杯のたびに登場する「日本サポーターが観客席のゴミを片付け、世界が賞賛」「『日本代表のロッカールームとベンチにはゴミがひとつも残されていない!』日本人の配慮に世界が感動」的な記事である。
テレビにも「日本礼賛コンテンツ」が溢れる
朝の情報番組や夕方のニュース番組などでも「外国人が日本の素晴らしさに感動」「日本人にとっては当たり前のアレに、外国人が大注目」といった企画をつくっては、日本のよさを発信し続けている。番組内のコーナーだけでなく「YOUは何しに日本へ?」「世界!ニッポン行きたい人応援団」(どちらもテレビ東京系)、「世界が驚いたニッポン! スゴ〜イデスネ‼視察団」(テレビ朝日系)など、番組1本がまるまる、日本人の自尊心を満たすための内容でまとめられている番組すら存在する。
「実は、日本の100円ショップのことを外国の皆さんが絶賛しているそうなんです!」などと司会者やリポーターが大袈裟にネタ振りし、出演者やガヤ連中が「えーっ!」と反応したところでCMへ……。そんな演出がお約束であるこの手の番組、私は大嫌いだ。なぜかといえば、まるで日本人が「ソト」からホメられ続けていないとプライドが持てない、卑屈で情けない民族のように思えてくるからである。