強気な表現が一気にトーンダウン

実際に、③では「(賀陽家の)『復帰シナリオ』への合意ができている」という強気な表現があったのに、⑥になると一気にトーンダウンしてしまっている。『週刊新潮』2号合計7ページにわたる関連記事の締めくくりは次の通り。

「はたして、愛子さまのお眼鏡にかなう男性は……」

「……」で締めくくられては、それまで(特に③)の記事は一体、何だったのかと首をひねる読者もいるのではないか。

④⑤⑦⑧も賀陽兄弟情報を取り上げつつ、やや距離を置くか、冷淡な扱いだ。⑤は③のようなシナリオについて「相当なハードルがありそうだ」と突き放している。

結局、少なくとも今のところ、事実関係については⑥の末尾の一文以上の中身は特にない、と見るのが妥当だろう。

男系限定論者に「理想的」なシナリオ

しかし、このような事実の裏付けを欠く記事が各誌に立て続けに載った出来事そのものが、奇異な印象を与える。ここらで、うさん臭さの2つ目、今回の一連の記事掲載の背景をどう読み解くかに移ろう。

ここで解明のカギになるのは、③に載った代表的な男系限定論者で、麗澤大学教授の八木秀次氏の次のように発言だ。

「愛子内親王殿下と賀陽家のご令息とのご縁がよい方向に進んだ暁には、まずお子様のいらっしゃらない常陸宮家にご令息が養子入りし、その後にご成婚という流れが望ましい。となれば、愛子内親王殿下は妃殿下として皇室にお残りになることができ、男児が生まれれば天皇家直系の男系男子となる。『皇位継承』『皇族数確保』という2つの観点からも、理想的なのです」

上述の通り、こうした男系限定論者にとって「理想的(?)な」シナリオに、実は何ら事実の裏付けがないことを確認した地点から振り返ると、賀陽兄弟情報が一挙に出回った裏事情が見えてくる。

後退を重ねる「旧宮家プラン」

もともと無理を抱える「男系男子」維持策として、旧宮家系国民男性が皇族の身分を取得できる制度作り(いわゆる旧宮家プラン)がこれまで“後退”を重ねてきたプロセスとの絡みから眺めると、意外な構図が浮かんでくるのではないか。

最初は、法的措置だけで昨日まで一般国民だった旧宮家系男性が今日から皇族になるという、ムチャな提案だった。それを旧宮家の“復活”とか旧皇族の皇籍“復帰”といった不正確な呼び方をしていた。

しかし、政府が今、国会に検討を委ねている(これも問題が多い)有識者会議報告書でさえ、そうしたプランについては「現在の皇室にいらっしゃる皇族方と何ら家族関係を有しないまま皇族になることは……(養子縁組による場合と比べて)より困難」(13ページ)として、事実上、切り捨てた。

そこで後退して、現在の宮家と家族関係を結ぶ「養子縁組プラン」が前面に出てきた。しかし、これも同じ戸籍に登録された国民の中から、旧宮家系という特定の血筋・家柄の者だけを特別扱いするので、憲法(第14条第1項)が禁じる「門地もんち(血筋・家柄)による差別」に該当することが明らかになった(東京大学教授・宍戸常寿氏、元内閣法制局長官・阪田雅裕氏など)。