「旧宮家プラン」の既定路線化狙ったか

そこでさらに後退した結果、最終シナリオとして出てきたのが、未婚の女性皇族との婚姻を介することで旧宮家系国民が皇室入りすることへの一般の人たちの心理的なハードルを下げる、という方策。少しうがった見方をすれば、その既定路線化を狙って、確たる事実の裏付けもないのに(これまでも一部で語られてきた)賀陽兄弟=「お相手」説が急浮上したという事情ではないか。

愛子さまの「妃殿下」扱いに違和感

先に引用した八木氏の発言の中身に少し立ち入ると、天皇陛下“直系”の「皇女」でいらっしゃる敬宮殿下を、昨日まで国民だった旧宮家系男性の「妃殿下」扱いしていることに強い違和感を覚える。「妃殿下」ということは、お相手との婚姻によって皇族のご身分を保つことができる、というお立場を意味する。

そもそも先の有識者会議報告書でも、未婚の女性皇族方がどのような男性と結婚されても(もちろんされなくても)、ご身分は皇族のままという制度を提案している。旧宮家系男性との婚姻によって「妃殿下」にならなければ皇室に残れないという内容では、まったくない。

天皇・皇后両陛下のご家庭という、皇室の中でも特別な“聖域”でお育ちになった方を、ただ「女性だから」というだけの理由で、親の代から世俗で暮らしてきた、血縁としても歴史上の天皇から20世以上も離れた男性との婚姻によって、かろうじて皇族の身分を維持できるような地位におとしめようとする感覚が、私には理解できない。

天皇直系と「男系」は両立できない

しかも、敬宮殿下がもし「妃殿下」という位置づけなら、その子は旧宮家出身の父親の血筋になるから、“天皇直系”とはされない。遥かに遠い傍系、いわば「大傍系」となる。敬宮殿下の血筋とされてこそ天皇直系となる。ただし、その場合は改めて言うまでもなく「女系」に位置づけられる。天皇陛下のお子様に男子はおられないので、直系と男系は決して両立できない。

先のわずかな発言の中に、複数の明らかな間違いが含まれている。

ここで興味深いのは、⑤⑦に登場する匿名の「皇室ジャーナリスト」が、ここに引用した八木氏の発言とピッタリ重なる発言をしていることだ。短い発言中、まったく同じ複数の間違いを犯すということは、偶然としては普通、あまり起きないことではあるまいか。