多くの人から信頼される人は何をしているか。ハイパフォーマンスコーチの岸昌史さんは「一見相反する表情を持てるかだ。ケネディ元大統領が日本で最も尊敬した米沢藩の名君である上杉鷹山は『得』と『徳』『情理』を体現し、倒産状態だった藩の改革を成功させた」という――。

※本稿は、岸昌史『熱狂のデザイン 楽しく結果を出すチームのつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

チェスはコインの山に落ちる。ビジネスの困難と倒産コンセプトのための暗い色調。
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熱狂する一人の“バカ”が偉大なリーダーに変わる瞬間

偉大なリーダーたちは、リーダーになろうとしてリーダーになったわけではありません。

リーダーシップとは、自分自身をリードすることから始まり、そこから人をリードし、社会をリードする旅です。

ある人が「見えないもの」、つまり現在、現実には存在せず、多くの人が「夢」や「理想」と呼ぶようなものを見る。そこに向けて、まず自分自身をリードします。

しかし、新しい挑戦をする人は、往々にして周囲に理解されません。世の中から見れば、最初は「一人で踊っているバカ」でしかないわけです。

熱狂する一人の“バカ”が偉大なリーダーに変わるきっかけをつくるのは、ファーストフォロワーです。

ファーストフォロワーの役目は、熱狂する一人が始めたことに、「かっこいいね」「面白いね」と言ってあげることかもしれないし、仲間としてチームに加わることかもしれません。あるいは、お金を出すことかもしれない。

それを入り口に、熱狂する一人が見ている景色に共感して人が集まります。集まった人は熱狂する一人が見ているものに自分自身の夢や思いを重ね、チームメンバーに変わります。

こうして初めて、リーダーはリーダーになる。「リーダーは仲間を奮い立たせるより先に、仲間に奮い立たされなければならない」といったこともいわれます。メンバーが一人のバカをリーダーに変えるのです。