平和デモに集まった人は、極右でも極左でもなかった
確かに、ここに集まったほとんどの人たちは、極右でも極左でもなかった。彼らは、「われわれは武器が人を殺すことを知っている」「この狂気をやめさせよう」というヴァーゲンクネヒト氏の言葉に共鳴して、雪の中をわざわざやってきた普通の人だ。この集会が極右に乗っ取られているとか、暴力沙汰になるなどと言い、妨害しようとしていた政治家は反省すべきだと思う。
ヴァーゲンクネヒト氏は、今のドイツは国民的な平和運動が必要で、できればこの日の集会をその第一歩にしたいらしい。私は思う。その運動で異なった意見の人たちが邂逅し、現在の敵対に終止符が打たれるなら、ドイツの言論はもう少し自由になるだろうと。日本にも誰か氏のような志を持った人が現れないかと、微かな期待さえ持つほどだ。
ただ、その一方で、今回の署名運動と抗議集会は、ひょっとすると氏が新党を結成するためのプロモーションなのかも知れないという疑いも、チラリと脳裏を掠める。どうも私は政治に失望しすぎて、政治家を信じることが困難になっているようだ。ただ、それでも今、なおも氏から目を離すことができない私である。