店内物流を担当するインストア・ロジスティクスマネジャーの高井宏樹さんは、沢木耕太郎の『深夜特急』に影響を受け、20代はバックパッカーでユーラシア大陸を横断していた行動派だ。
「プレオープン後の店内在庫の補充・陳列や整理が残っており、開業日は夜中の2時に出社して作業を続けました」
3人はストアマネジャー(店長)のドミニク・マジェールさんの補佐も担う。一般企業のマネジャーに比べて年齢は若いが、1号店オープン以来6年間、日本の消費者と向き合ってきた。
社内で「トリニティ(三位一体)」と呼ばれる3人(チーム)は執務デスクも近く、会議だけでなく、現場や事務所で意見交換をしながら準備を続けた。
福岡新宮店だけで480人のスタッフを抱えるが、多くの企業にあるセクショナリズムはない。「ねえねえ」という言葉が頻繁に飛び交い、ロジスティクスとセールスが一緒に店舗を歩き、回転の悪い在庫を売る方法も考える。
11年1月にイケア・ジャパン社長に就任したミカエル・パルムクイストさんにとっても、初の新店舗開業は感慨深いものだった。ある従業員は「ファンタスティック! と声をかけられた」と明かす。
開業日に行われた共同記者会見の席上、「来店客の声を聞いたか」という質問に対してもこう答えている。
「コワーカーにお礼を言っていたので、まだお客さまの声は聞いていません」