年間来場者2200万、東京ディズニーリゾート(年間約2500万人)に迫る集客数を誇るイケアが、国内6店舗目をオープンさせた。同店の立ち上げを密着取材した。北欧の巨人が放つ次の一手とは?
日本進出時はスウェーデン式にこだわったイケアも、今は現地化に力を入れる。
その象徴が「ホームセット」と「ルームセット」だ。福岡新宮店では、8つのホームセットと43のルームセットを設けた。
2階家具売り場の一角に「3LDK 68平方メートル」「2LDK 54平方メートル」「1K 12平方メートル」といった実寸の部屋(ホームセット)をつくり、その中に家具を配置。「どうぞ、中に入って暮らしのアイデアを見つけてください」とメッセージも掲げた。
リアリティを追求して窓の向こうには街の景色を映した特大ポスターが貼られている。プットリさんの力作だ。
一方のルームセットで日本らしさの象徴が「畳の部屋」や「オタク部屋」。
ただし家具のデザインや大きさは欧州で決めるため、あくまでも北欧式の家具を日本の間取りに配置させる提案だ。「畳の部屋にイケアの家具は合わないという先入観を崩し、お客さまにインスピレーションを与える提案」と説明する。
こうした現地化のきっかけとなったのが「ホームビジット」(家庭訪問)で得られた調査結果である。今回も新宮町をはじめ、近隣の家庭を数多く訪問した。
その結果見えてきたのが「首都圏・近畿圏に比べて、昔ながらの小部屋が多く、間取りは広い。クルマ通勤が多く、夜は自宅で過ごす時間が長い。新宮町ではゴミの分別にも悩んでいる」といったこと。