年間来場者2200万、東京ディズニーリゾート(年間約2500万人)に迫る集客数を誇るイケアが、国内6店舗目をオープンさせた。同店の立ち上げを密着取材した。北欧の巨人が放つ次の一手とは?

まだ店舗の建物も完成していない11年8月。新店で働くメンバーが入社し始めた。イケアでは従業員を「コワーカー」と呼ぶ。正社員もパートタイマーも同じだ。パートでも意欲的であれば、正社員や上級職への道が拓かれている。

役職の上下に関係なく、下の名前やニックネームで呼び合うのも企業文化だ。たとえば辻洋平さんは「洋平(さん)」と呼ばれている。社外の人に従業員を紹介する際に、名字が出てこず困ることもあるらしい。

ストアマネジャー
ドミニク・マジェール

フランス出身。2002年入社。IKEA Russiaを経て船橋、新三郷、鶴浜にて店舗立ち上げに尽力。

ストアマネジャーで、今回の新店プロジェクトマネジャーも務めたドミニク・マジェールさんは、コワーカーのことを「常に同じ部下ではなく、時には上司で、兄弟姉妹でもあり、子供だったりする」と表現する。

「見かけとは裏腹に、気配り上手できちんとしており、フランス人のイメージとは違う」というのが周囲のドミニク評。

「店づくりは一つ間違うと、あらぬ方向に進むことがあるので怖い」と話すドミニクさんは、時に従業員への要求レベルが高くなるが、接し方は気さくだ。

廊下ですれ違うと「ボンジュール」と声をかけ、月曜朝の全体ミーティングでは「フレッシュな気分で1週間を始めよう」とみかんを配ったりする。

ロシアの店舗運営に関わった後、来日して船橋や鶴浜の副店長を務めた経験から、日本や日本人の特性を理解し、従業員の心をつかんでいた。