たとえば福岡新宮店も、当初は別の大型商業施設が出店する予定だったが、頓挫すると周辺の店舗出店も止まった。それがイケア進出決定後に再び流れが変わり、スターバックスやユニクロが出店を決めた。それだけ集客効果が高いのだ。JR鹿児島本線の新駅として10年に開業した新宮中央駅前のマンションも、最近は建設段階での完売が続く。
福岡新宮店の立地場所は、博多と小倉を結ぶ国道3号線のロードサイド近くだ。3号線の反対側にはニトリをはじめ、中村家具(本社・福岡市)やナフコ(北九州市)、迫田(鹿児島市)といった家具チェーン店が立ち並ぶ。家具激戦区でのイケア進出を、他社はどう受け止めているのか。
「実はイケアさんの開業後、売り上げは2倍になりました。お客さまが、まずあちら(イケア)に行かれてから来店し、『ここに来るとホッとする』と話しながら家具を買われるケースも目立ちます。イケア出店が決まったとき、事前調査のため船橋店を訪れましたが、当社は国内外の高級家具を安心価格で提供するので、顧客層は重なりません」(中村家具・新宮店の尾崎純子店長)
福岡県には木工家具の集積地・大川家具があるが、大川市内の家具生産額は縮小が続く。イケア進出が市場活性化への起爆剤となるかもしれない。
こうしたさまざまな話題を集めながら開店したイケア福岡新宮店。今回、開店への原動力となったのは、新加入の従業員たちだ。時計の針を少し戻してみよう。
※すべて雑誌掲載当時
(笹山明浩=撮影)