2006年の船橋(千葉県)を皮切りに、港北(横浜市)、神戸(兵庫県)、鶴浜(大阪市)、新三郷(埼玉県)に出店した世界最大の家具メーカーの九州初上陸――。「わくわくが、家にやってくる」を掲げ、新しもの好きの九州人に訴求した滑り出しは上々だ。

福岡新宮店のカード会員はオープン前に6万人を超え、開業当日も悪天候の中、3万人のお客が足を運んだ。

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冷え込む国内家具小売業

プレオープンと呼ぶ、会員向けの事前販売では、4990円と5990円の「ポエング」(日本人デザイナー考案のひじかけイス)が200脚も売れた。――と、景気のいい話から始めたが、実は国内家具市場はバブル経済崩壊後から右肩下がりの低迷が続く。

「1991年に年間6兆円だった家具の総販売額が近年は3兆円と、20年間で半減してしまいました」(家具専門誌「ホームリビング」の長島貴好編集長)

そんな中、ニトリとともに家具業界を牽引するのがイケアである。両社を比較すると、上場企業のニトリは国内258店舗で売上高は1587億円、営業利益が27億円(11年2月期・単体)なのに対して、イケアは非公表だが(各方面の取材から判断すると)、既存5店舗で売上高は430億~450億円と推計される。

グローバルの売上高は252億ユーロ(約2兆6460億円)と、ニトリ(3310億円・12年2月期・連結)の8倍もの規模を持ち、商品カタログの発行部数も年間2億800万部(出版物の中で最多)を誇るイケアは、日本国内では、売り上げの数字以上に周辺に及ぼす影響が大きい。