お上に従うのではなく、まちの現実を客観的に判断する

大阪や神戸のベッドタウンである明石市と同様、首都圏への通勤が可能で「東の流山、西の明石」と言われるほど子育て支援に力を入れている千葉県流山市では、送迎保育ステーションなどのハード整備、就労場所の確保など、市民のニーズを汲んだ子育て施策を展開し、高い注目を集め続けています。

一方で2021年の「全国戻りたい街ランキング」で明石市に次ぐ2位の福岡市、その特徴の1つは、ベンチャー企業支援も含む幅広い経済対策です。アジアの玄関口に位置する大都市ですから、明石市とは政策が違って当然です。

それでも3つの市に共通しているのは、まちの現実を客観的に判断していること。

市民の声と政治の限界のはざまで可能性を探り、我がまちの立ち位置、時代状況を踏まえ、行政にできる効果的な手段を選択している。だからこそ多くの人が、そのまちの施策を評価するのでしょう。

お上に従い漫然と全国一律でやってきた従来のやり方、思い込みを脱して、自治体が自ら改革を進めていける時代です。自分の住むまちだけでなく、他のまちの政策も日頃からしっかりチェックすることをお勧めします。自分にも、家族にも、自分のまちにも役立てることができるはずです。

政治家は最初から市民のほうを見ていない

日頃からチェックすべきは、自治体の政治だけではありません。国の政治も私たちの生活に直結しています。

あまりにも一般の市民感覚からかけ離れた政治家が多い。そう思う方も多いでしょう。国会議員のあきれた言動が、日常的によく報道されている残念な状況です。

「最初は志があったのに、初心を忘れている」

そんなふうに思うかもしれません。でもそれはフィクションです。

企業や団体の応援で当選した議員は、最初から一般市民よりもその企業や団体を見ています。それに加えて政治家からの口利きを期待して、企業や団体などから献金の打診も山ほどあります。さらに国会議員ともなると、空港やフライト、鉄道だけでなく、都心の一等地の宿舎などで優遇を享受できる。置かれた環境が過剰な特権につながり、さらなる勘違いを生じさせる。そのしわ寄せを受けるのは一般市民です。

そんな中でも、与野党を問わず多くの心ある国会議員が関心を持って、明石市まで視察に来てくれました。明石市の取り組みは国でも可能。高い政策効果に大いに期待して、国会質問でも明石市のことがしばしば取り上げられています。「やさしい社会を明石から」。全国に広げていく動きが、次第に広がっていることを実感しています。