「少子化最大の理由は晩婚化」

「一番、大きな理由は出産する時の女性の年齢が高齢化していることです」

自民党の麻生太郎副総裁が、地元福岡県で開かれた講演会で少子化の最大の原因が晩婚化にあるという持論を展開したと報じられた。「今は(女性の初婚年齢が)30歳で普通」だとし、複数の子どもを出産するには「体力的な問題があるのかもしれない」と述べたという。

SNS上ではこの麻生発言に対して批判が相次いでいる。「少子化を女性のせいにしている」「生まない女が悪いと言いたいのか」といった反応だ。過去にも失言の多い麻生氏の発言だけに、政治家として無責任だと捉えられた面もあるのだろう。

だが、晩婚化が少子化の原因だという麻生氏の指摘も完全な間違いというわけではない。問題は晩婚化が進まざるを得ない社会構造と、晩婚化が少子化に直結している現状にあるのではないか。

もちろん、経済問題が大きいのは間違いないが、児童手当などの補助金を増やせばそれで少子化が解消されるとも思えない。何せ、政府は20年以上にわたって子ども手当や児童手当といった支援策を打ち続けているにもかかわらず、少子化に一向に歯止めがかからないのだ。

母親の指を反射で握る乳児
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原因は日本企業の「一律のキャリアパス」にある

なぜ、晩婚化しているのか。それは女性が男性同様のキャリアを積むのが当たり前になっているからだ。麻生氏世代の保守主義者は女性は家庭を守って子育てするものだという考えに固執してきたが、もはや圧倒的な多数が共働き世帯になった。女性が働くのは経済的な理由だけではない。

22〜23歳で大学を卒業した女性が企業でキャリアを積もうと考えると、当然、3〜4年はバリバリ働かなければ同期に後れを取ってしまう。かつて結婚適齢期と言われた25歳前後は、結婚など考える余裕すらない。会社で一定の評価を得るようになるとすでに30歳近くになり、ようやく結婚を考えられる。それでも子どもを生むとなるとキャリアを中断せざるを得なくなり、多くの働く女性が出産を決断できない。

最近は出産・育児休暇などが整備されたが、それでもブランクができれば社内キャリア的にはマイナスになる。つまり晩婚化の背景には、日本企業の新卒一括採用や、入社後の一律のキャリアパスが関係しているわけだ。