※本稿は、松永正訓『患者が知らない開業医の本音』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
グーグルのクチコミがアテにならない理由
成人内科でも小児科でもクリニック選びは難しい。どのクリニックを自分のかかりつけにしたらいいのだろうか。医者との相性もあるし、クリニック全体の医療スタイルが自分に合うかどうかという問題もある。ぼく自身も自分の健康に関してクリニックや病院を受診する。自分の子どもが何かの病気になれば、やはりクリニックを探すことになる。うまいクリニックの見つけ方をちょっと考えてみたい。
まずもっとも参考にならないのは、グーグルのクチコミである。あなたの近所のクリニックをグーグルで検索すると、クチコミが載っているだろう。大抵は低評価で、5点満点を獲得しているクリニックなどほとんどない。
ぼくのクリニックの点数はどうだろう……どれどれ。3.5点である。低! 投稿しているのは14人。これが一体何の参考になるだろうか。うちのクリニックにこれまでの16年間に受診した患者数は延べで25万人を超えている。25万人の中の14人の意見なんてほんの一部に過ぎない。
悪い口コミだけを消してくれる業者もいる
そもそも匿名で公開の場で人(クリニック)の悪口を書くなんて、その人の人間性はどうなんだろうかと思ってしまう。そういう意見が果たして参考になるだろうか。そして不思議なことに、クリニックによってはグーグルのクチコミが表示されていないことがある。投稿者がゼロなのである。これはどういうことだろうか。
開業医の仲間内では、このグーグルのクチコミを消す業者がいるという噂がある。いや、噂ではない。先日うちのクリニックに届いた郵便物の中に、まさに「グーグルのクチコミを消します」という業者からの手紙が交ざっていた。なんと料金は数十万円。この金額を支払えば、クチコミをきれいに消してくれるのだという。まさか、この業者がクリニックの悪口を書き込んでいるんじゃないよね? そんなわけで、ネットのクチコミは一切信用しないことにぼくは決めている。