「ドクターショッピング」はやってもいい

ぼくが開業した年に3歳の子どもを連れたある母親が、うちのクリニックを受診した。子どもは普通の風邪だった。少しお母さんと雑談すると、「私、いま、いろいろなクリニックを順番に受診しているんです。どこが一番いいかなって」と言われた。なるほど、その気持ちは分かる。

ホームページを見て情報を得たら、次はじかにその医者に当たってみることである。一般の人が医者の実力を見抜くのは容易ではないが、少なくとも自分との相性は分かる。説明が丁寧かどうかも分かる。一般的にドクターショッピングは慎むものだと言われているが、ぼくは必ずしも悪いことだとは思わない。ちなみにそのお母さんは、その後うちのクリニックに来なかったので、ぼくは落第点を出されたのだろう。

「風邪を早く治すには?」と聞く

ぼくは、受診した子どもが人生で初めての風邪だった場合、「風邪とはなにか」「風邪薬の役割は何か」「自宅でできるケアは何か」「どういうものが再診した方がいい危険なサインか」をみっちり説明している。これはけっこう時間がかかるが、一般の人に対する教育という意味でも大事だと思っている。

だから、あなたがもし目の前の医師がどういう医療をする人なのか知りたければ、こう質問するといい。「風邪を早く治すためにはどうすればいいですか?」と。この質問に丁寧に答えてくれる医師は信頼できる医師だ。そういう質問がしにくかったら、そのこと自体がその医者がいいホームドクターではないことを示している。

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