破綻による人員削減が加速、5月末までに第一陣が希望退職することになった日本航空。客室乗務員、パイロット、地上職――墜落した会社を去る人、残る人、それぞれの声を聞いた。
一般社会とは「2周回遅れ」――。
今年1月に会社更生法を申請し、6月中には再生計画を裁判所に提出する瀕死の日本航空(JAL)の大リストラ現場を見ていると、この表現がしっくりくる。
同社は、経営再建のために、従来の路線縮小計画を前倒しし、今年度末までに国内外229路線のうち、国内30、国際15の計45路線を廃止する。その結果、国際線では約4割、国内線は約3割を縮小することを発表した。
経営規模をダウンサイジングする結果、働く人々も必要なくなるというわけだ。当初の計画を前倒しし、今年度中に1万6452人のリストラを目指す。当初は、退職希望者が定員に達しないのではないかといった報道もあったが、第一陣として約3610名が応募した。一部運航に支障が出る可能性があるため、9月末に退職をずらした人もいるほどだ。
5月末で退職を決めた30代半ばの客室乗務員(CA)のAさん(既婚)は語る。
「私の年代で約200万円上乗せされ、合計700万円ほどの退職金提示があった。二次破綻の懸念もあり、『今を逃したら、二度とこんな好条件では辞められないよ』と会社に強く勧告されたんです」
退職金が多すぎるという意見が外部関係者からあったようだが、「会社側が『これくらい出さないとウチの社員は辞めないですよ』と強気で交渉したみたい」。
客室乗務員に関しては、35歳以上の社員に面談が行われたという。
「53%の企業年金の減額幅がOBと同じ30%で済むといった話もあり、4月末には再就職説明会も行われた」とAさん。退職面談をした40代の女性上司も、「私も辞めるんだけどね……」と、つぶやいていたという。
Aさんによると、CAで希望退職に手を挙げたのは、35歳から40代前半くらいまでの既婚者か家が裕福な人が多い。しかし、そうでない独身CAは50代でもしがみつく。
「ほとんど自宅待機みたいなスケジュールにさせられても辞めません」(Aさん)