3.世界初・業界初の商品

キーエンスでは、「お客様も気づいていない潜在ニーズ」を、徹底したコンサルティングセールスによって探り出し、「まだつくられていない付加価値(新創造価値)」を備えた商品=「世界初・業界初の商品」を生み出しています。

この世界初・業界初という商品は、お客様でも気づいていなかったような、潜在ニーズの問題解決手段を実現しています。

ここで興味深いのが、キーエンスではその実現のために、「世界一の高度な技術が使われている」ことが重視されているわけではないことです。

商品がどのようにお客様に使われるのか、その「『使われ方』までを追求した商品である」ことが重視されているのです。

プロダクトアウト型は企業の思いを優先

では、一つひとつ順番に見ていきましょう。

まずは①「マーケットイン型」についてです。

マーケットインとは、「市場・顧客のニーズ」を優先して企画・開発・生産することですが、その逆がプロダクトアウトです。プロダクトアウトとは、企業が「自分たちは何を作りたいのか」「自社の特性を活かしてどんなものを作れるのか」を考えて企画・開発・生産することです。

プロダクトアウトの発想で作られた商品は、生活者のニーズよりも、メーカー側の「我が社の技術力を駆使して、こんなプロダクトを作ったら売れるに違いない」という思いを優先して作られた商品です。

キーエンスの起点は「お客様が困っていること」

プロダクトアウトには、企業の強みを活かしてこれまでなかった画期的な商品が生まれる可能性がある、というメリットがあります。また、プロダクトアウトの発想で商品を作る場合でも、当然、企業はさまざまな市場調査をしているはずです。

しかし、顧客に高い付加価値を提供するという面では、プロダクトアウトよりもマーケットインのほうが有利だと言えます。

マーケットインのほうが、付加価値の源泉であるニーズを捉えやすいからです。

キーエンスでは、徹底して顧客のニーズにフォーカスしたマーケットイン型の新商品企画・開発を行っています。

彼らは、ニーズ=「お客様が困っていること」を起点として商品を作っており、「商品の強み」を起点にしていないのです。