指導部が必死になって守ろうとする威厳の陰で、経済苦や妊婦の流産、精神疾患などを生じ、人々の命が犠牲となってきた。南京錠に閉ざされた非常扉の向こうで多くの命が失われた、ウイグルでのマンション火災も例外ではない。

収拾がつかなくなったデモに押される形で、政策の一部緩和を打ち出した中国共産党指導部。だが、世界の歩調からはすでに数歩遅れている状況だ。加えて、ゼロコロナ頼りの中国ではもはや、同政策の撤廃は不可能だとの見解も出ている。

BBCは緩和の発表に先立ち、ゼロコロナの緩和は難しいとの立場を示していた。高齢化のワクチン接種率が低く、外国産ワクチンの使用を拒否し続けているうえ、国産ワクチンの有効率が低いという現状があると記事は指摘する。

さらにニューヨーク・タイムズ紙は12月2日、北京で1日あたりの新規感染者数が過去最多となっていると同時に、ワクチンの接種ペースは過去最低を記録しているとの厳しい現実を提示している。

進むも地獄、退くも地獄のゼロコロナ

ゼロコロナ政策をパンデミック対策の柱として長期間掲げてしまった以上、堅持するにせよ大幅に緩和するにせよ、習政権にとって大きなリスクが伴う状況となっている。

政策の破綻を認識しつつある党指導部だが、ここまでデモが広まった状況で政策を翻す場合、デモが効果的だと民衆に学習させる結果ともなりかねない。

国の威信をかけたゼロコロナ政策は、公衆衛生と民衆のコントロールの両面において、進むも地獄、退くも地獄の厳しい局面を迎えている。

上海のロックダウン
写真=iStock.com/Adrian Hodge
※写真はイメージです
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