習近平の続投で高まる台湾有事の現実味
中国共産党の暴走に、歯止めはかかるのだろうか。
10月22日までの党大会で選出された新指導部は、下馬評通り習近平国家主席が総書記を続投。異例の3期目入りを果たした。
懸念されるのは、緊迫の台湾関係だ。新指導部は、習近平に忠誠を誓う人物を登用する人事となっている。英ガーディアン紙は、習近平の政敵を徹底的に排除した指導部の構成を受け、「いまや束縛なく確固としたものになった彼(習近平)の権力が、台湾侵攻のリスクを高める恐れがあるとの懸念が巻き起こっている」と指摘する。
習近平政権はすでに党大会以前から、台湾問題に武力の投入もいとわないと明言している。ロイターは10月15日、「中国、対台湾で武力投入の権利を持つと発言」と報じた。記事によると中国共産党の報道官は、平和的な中台統一が基本路線だと説明しながらも、やむを得ない場合は武力行使も選択肢に入ると明言している。
実際に中国側が武力行使に出ると決まったわけではないが、台湾への圧力は日増しに高まっている。こうなると台湾側も無策ではいられない。
自身が一度は裏切った祖国を守ろうと、私財を投げ打つ覚悟を決めた財界人が出てきた。台湾を代表する大手半導体メーカー「UMC」の創設者である、ロバート・ツァオ(曹興誠)氏その人だ。