40歳を過ぎてから大便を漏らした経験

ここで告白するが、私は40歳を過ぎてから大便を漏らしたことがある。東京・代々木上原の牛丼屋で朝食を食べた後、徒歩17分ほどの事務所へ戻る途中のこと。8分を過ぎたところで突然猛烈な便意がやってきた。店に戻るには微妙過ぎる距離である。「あと9分我慢すればなんとかなる」と考えて、敢然と前に進んだ。

このときが真昼間であり、通りの飲食店などが開いているのであれば、SOSを求められただろう。だが、時間は朝の7時台。どこの店も開店しておらず、そのうえ、それなりに通勤・通学する人の目も存在する。屋外で用を足す状況にはなかった。

そしてその7分後、事務所があるマンションまで残り2分という歩道橋の上で少しちびった。続いて、第1波ともいえる量の水っぽい大便が出た。パンツにはしっかりと重みを感じた。これはもうどうしようもない。第2波もその数秒後に到来。これですべてが出きったようだ。こうなると腹をくくるしかなくなり、極力すれ違う人との距離を空け、マンションの裏口の階段から3階まで尻の穴をすぼめつつ、歩を進めた。

公言しないだけで、お漏らし経験のある大人は多いはず

幸い誰にも会うことなく、部屋に到着。靴を履いたまま風呂場へ直行し、全裸になって身体、そして身に着けていたものを洗った。靴だけは念入りに洗浄して使用を継続することにしたが、パンツはためらわず捨てることを決定。アパレルメーカーに勤める友人がくれた希少なジーンズも捨てることに決めた。

まぁ、けっこうな災難ではあったが、もともと自分の腹が緩いことは知っていたため、対策を講じる意識はそれなりに持っていた。そのため、大人になってからのお漏らしはこの1回で済んでいるが、どんなに気をつけていても、相手は生理現象だ。便意の大波に突然襲われることはある。実際、自分だけの極秘事項として絶対に公言しないだけで、大人になってから多少、便を漏らした経験がある人は予想以上に多いのではないかと想像している。すまし顔で放屁しようとしてうっかり漏らしてしまい、慌ててトイレに駆け込んだ……なんて経験を持つ人も恥ずかしがる必要はない。大丈夫、程度差はあれど、みんなやっているに違いない。