今年7月中旬以降、日本の1日あたりの新型コロナ陽性者数は世界最悪となっている。ライター・編集者の中川淳一郎さんは「無意味な感染対策をいつまで続けるつもりか。いいかげん、『忖度マスク』はやめるべきだ。『もとの生活に戻りたい』という機運は確実に高まっている。事業者も感染対策からの『一抜け』をしたほうがトクするだろう」という――。
陽性を示す抗原検査キット
写真=iStock.com/Michele Ursi
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コロナ後を真剣に見据えて、ビジネス施策を打つべき局面に入った

新型コロナ騒動が始まって2年7カ月ほど経過した8月上旬、日本では「陽性者数が過去最高!」なんて報道が連日伝えられた。この期に及んでもまだ「えらいこっちゃえらいこっちゃ!」と陽性者の人数に右往左往し、大騒ぎを続けている状況だ。

だが、企業や各種施設はそろそろ「コロナ後」を真剣に見据えるべきである。この騒動が収束していく過程で競合他社をいかに出し抜くか、PR展開やサービス開発を加速させる段階に入ってきているのではないか。

日本感染症学会など4学会は8月2日に記者会見をおこなった。そこで同学会の四柳宏理事長は「(新型コロナに罹患りかんしても)順調に経過をされた場合には、いわゆる普通の風邪とあまり大きな差はございません」と述べた。もう諸外国と同様に、コロナは終わりでいいのだ。基礎疾患を持っているとか、妊娠中であるとか、高齢者であるとか、要は「ハイリスク」とされる人々が、自主的に感染予防を心がけることは否定しない。ただ、それ以外の一般人は、もう通常どおりの暮らしに戻ればいい。

日本の場合、世間の「空気」が人々の行動や考え方を左右する。では、いまの空気はどうか。「コロナ、もういいんじゃないの……」的な空気は、間違いなく色濃くなってきている。

その空気が大きな流れをつくり出す前に「一抜け」をして儲けを出し、空気が決定的になったときにはしっかりと先行者利益に浴している……そんな立ち回りをするための施策を本稿では提案していきたい。

コロナ関連の感染対策はもはや無意味である

2022年8月現在、公共交通機関、商業施設では「感染対策の徹底のため、マスクの着用、アルコール消毒をし、会話は控えましょう」といったアナウンスが流れ続け、人々はマスクで鼻と口と頬を隠してぞろぞろと歩いている。正直、不気味な光景だ。2019年までの感覚でいえばもはや不審者の列であり、1970年代であれば「口裂け女」だらけという状況である。

とはいえ、本気でコロナを恐れている人はいまや少数派ではなかろうか。30%いるかどうかもわからない。多くはただただ「忖度そんたくマスク」を着けているだけである。

指示待ち人間が多い日本では、「感染対策は不要です」と首相や厚労省、知事、上司、そして親から言われない限りは続けなくてはいけない、と頑なに信じている。もう断言するが、コロナに関連した感染対策は全部意味がなかった。マスク、アクリル板、アルコール消毒、レジのビニールカーテン、学校の机の覆い、旅行自粛、無観客試合、県境をまたぐ移動の自粛、席はひとつずつ空けて座る、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置(マンボウ)の発出、花見の禁止、花火大会の中止、祭りの中止――いずれも「感染対策ごっこ」である。

なぜプロ野球ではスタメン選手はマスクを外し、控え選手と監督・コーチはマスクをしているのか?

なぜ、テレビのスタジオに登場する芸能人はマスクをせず、一般人はマスクなのか?

なぜ、『紅白歌合戦』などの歌番組で、大人数の演者がステージにひしめき合ってマスクをせず歌うのか?

なぜ、飲食店では入店時・便所へ行くとき・退店時だけマスクをし、それ以外は外しているのか?

そしてこれが最大の謎なのだが、なぜ海外の多くの国ではもうマスクをしていないのに、日本は着用し続け、世界最高の1日あたり陽性者数を達成した(詳細は後述)というのに鎖国を続けているのか?