「トーマス」のパロディーだけではなかった!

この漫画、ユン大統領を「きかんしゃトーマス」にしたことが問題視されたわけだが、それ以上に議論を呼ぶ「仕掛け」があった。

よく見ると“ドヤ顔”の「きかんしゃユン・ソクヨル号」の窓からボブヘアーの女性が顔をのぞかせている。これはユン大統領の夫人、キム・ゴンヒだ。さらに「ユン・ソクヨル号」に牽引された列車には手に剣を持ち法衣を着たこわもての男たち。これはユン大統領がかつていた検察庁の検事たち。そう、つまりこの漫画は「ユン大統領を夫人が運転し、かつて同僚だった検察を従えて、国民を蹴散らしている」ことを描いているのだ。

そうした漫画が文化体育観光部(日本の文科省に相当)が助成金を出す国際漫画祭で金賞を受賞したとあって、韓国政府、とりわけ文化体育観光部が激怒した。

文化体育観光部は、4日報道資料を通じて「富川市所属の財団法人である韓国漫画映像振興院が中・高校生を対象に主催した全国学生漫画公募展で政治的なテーマを露骨に扱った作品を選定して展示したのは、学生の漫画創作欲求を鼓吹しようとする行事の趣旨に極めて反する」と発表。

また「全国学生漫画公募展を主催した韓国漫画映像振興院は富川市所属の財団法人だが、国民の税金である政府予算102億ウォンが助成金として支出されており、この公募展の大賞には文化体育観光部長官賞が授与されている」と指摘した。

さらに追加資料でこの公募展が文化体育観光部の後援名称の使用承認事項を違反したと明らかにした。

韓国漫画映像振興院が文化体育観光部に公募展の後援を申請した際、提出した書類には「作品の応募者がはっきりしていなかったり盗作・盗用・著作権侵害の可能性がある場合」「政治的意図や他人の名誉を毀損した作品」「応募要綱基準(規格、分量)を満たしていない場合」「過度な扇情性、暴力性を帯びた場合」を欠格理由と定めていた。

文化体育観光部は「実際の公募要綱には、このような欠格事項が記載されず、審査委員にも公示されていないことを確認した。また、未発表の純粋な創作作品かどうかについて深く検討されなかったという点も確認した。従って韓国漫画映像振興院は当初の承認事項に決定的に違反して公募を進めていたものと判断される」と説明。

そして「文化体育観光部の名称使用の承認に関する規定第9条第1項「承認した事項に違反して後援の名称を使用」に該当し、規定に応じて迅速に関連措置を履行する計画だ」と発表し、韓国漫画映像振興院が今後富川国際漫画祭や関連公募展などで「文化体育観光部後援」という名称を使用しないように制裁措置を取るものとみられる。