『梨泰院クラス』のような人気ドラマの原作として日本でも韓国のウェブ漫画「ウェブトゥーン」が人気を集めるようになっているが、本国韓国では今、1枚の風刺漫画が政界をも巻き込んだ論争を巻き起こしている。京義新聞がスクープして話題を集め、他の韓国メディアが後続記事を出している。
12万人が観覧する大規模イベントで展示
問題になった漫画は9月30日~10月3日まで京畿道・富川(プチョン)市で開催された富川国際漫画祭(BICOF)に展示されていた。
富川国際漫画祭は「アジア最高のグローバルマンガフェスティバル」と銘打った漫画祭で、漫画家や関係者1000人、国内外のコスチュームプレーヤー約5千人が参加し、観覧客数12万人という大規模なイベントだ。韓国最高の漫画賞「富川漫画大賞」を中心とした受賞作品の展示をはじめ、漫画関連のコンサート、国際コスプレチャンピオンシップ、漫画マーケットなど多彩なプログラムが行われた。
そのなかで、ネットを中心に話題を集めた作品があった。タイトルは「ユン・ソクヨル号」。いや、タイトルを読まなくても、韓国国民なら絵を見ただけで誰でもすぐに分かる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領をパロディーにしたものだ。
ユン大統領を世界的な子ども向け人気アニメ「きかんしゃトーマス」になぞらえたこの漫画、タイトルの前にハングルで2文字書かれている。「금상」=金賞受賞作という意味だ。なんと、この漫画は富川国際漫画祭で行われた全国学生漫画公募展でひとコマ漫画部門金賞受賞作に選ばれていたのだ。全国学生漫画公募展では大賞は文化体育観光部長官賞が与えられ、金賞は各部門の最高の賞で京畿道知事賞が授与される。
授賞式は10月1日、国際漫画祭が開催された韓国漫画博物館で行われ、京義新聞は国際漫画祭の主催者側にこの漫画を審査した審査委員らの選評を求めたが、漫画祭の関係者は、内部資料のため公開できないと回答したという。
この漫画、タイトルの下には作者の名前と学校名が一部隠された形で掲載されている。これを見たネットユーザーたちは「高校生の覇気を見よ」と、現職大統領を批判する漫画を書いたことに驚きを見せたり、「この学生もすごいが、この作品に金賞を与えた審査委員らもすごい」とコメントを書き込んでいる。